ロシアゲート問題


クシュナー氏と面会の頭取、露は「政府代行」を否定面会したゴルコフ頭取の銀行は米国による対ロ経済制裁の対象

By Nathan Hodge
2017 年 7 月 26 日 07:55 JST

 【モスクワ】ドナルド・トランプ米大統領の娘婿と面会したロシア国営の開発対外経済銀行(VEB)頭取について、ロシアの大統領報道官は25日、「クレムリンの代行として」その場に出席したわけではないと述べた。VEBは米国による対ロ経済制裁の対象。米国では2016年の大統領選にロシアが介入したとして制裁強化法案の審議も進んでいる(編集注:米下院は日本時間26日早朝、新たな対ロ制裁法案を可決した)。

 トランプ氏の娘婿で大統領上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏は24日、ロシアによる米大統領選への介入疑惑を調査する上院情報委員会で非公開の証言を行った。25日には下院情報委員会でも証言。VEBのセルゲイ・ゴルコフ頭取と昨年面会したことなどを受け、同氏とロシアとの関係には疑念が生じている。

 ロシアの複数の通信社によればドミトリー・ペスコフ大統領報道官は25日、ゴルコフ氏はロシア政府とは関係ない「ツアーの一環」として当時米国を訪れていたと発言。「これら面会は政府からの承認を必要としたものではなく、当然ながらクレムリンの代行として実現したものでもない」と同氏は話したという。

 VEBはロシアがウクライナ東部の分離・独立主義勢力を支援したことや、同国が2014年にクリミア半島を併合したことを受けて米国の制裁対象に加えられた。クシュナー氏はゴルコフ氏のほか、駐米ロシア大使のセルゲイ・キスリャク氏とも昨年面会したことを認めているが、ロシア側との共謀はなかったとしている。

 クシュナー氏はゴルコフ氏が「共に協力し合える方法」について見識を持った銀行家だとして、キスリャク氏から面会するように勧められたと話している。

 選挙期間中のトランプ陣営とロシア政府の共謀疑惑が調査される中、米政権にはさまざまなスキャンダルが浮上している。米情報機関は大統領選でトランプ氏が有利になるよう、プーチン氏がハッキングを指示したと断定。一方でトランプ氏は情報機関による調査が「魔女狩り」だとし、いかなる協力関係も否定している。

 ロシア政府も大統領選への介入を否定しているが、米国からは追加制裁を受ける見通しだ。米議会は先週、ロシアの事業体に対する信用枠供与の制限を強化し、エネルギー・防衛部門のロシア企業と米国民の提携を新たに制限する法案を審議することで同意。ホワイトハウスは23日、トランプ氏がこの法案を支持する意向であることを示唆した。

モスクワに「トランプ・タワー」建設、昨年1月まで検討

ワシントン(CNN) トランプ米大統領の一族が経営する「トランプ・オーガナイゼーション」が2015~16年、モスクワにトランプ・タワー型の高層ビルの建設を計画し、大統領選へ向けた選挙戦が本格化するまで検討を進めていたことが29日までに分かった。
トランプ氏の顧問弁護士で、当時同社の執行副社長を務めていたマイケル・コーエン氏が明らかにした。

ウクライナ問題、トランプ氏が裏で手打ち画策か 側近ら和平私案〜マイケル・コーエン氏がマイケル・フリン大統領補佐官の事務所に手渡す

同氏によれば、建設計画の検討は15年9月から16年1月末まで続いていた。選挙戦とは無関係だったとしているが、ロシアとのビジネス上のかかわりを否定してきたトランプ氏の主張とは矛盾する。
コーエン氏は28日に出した声明文書の中で、タワーの構想は同社がいったん検討しながら却下した多くの建設計画のひとつにすぎないと説明。当初の提案や最終的な計画断念はともにもっぱらビジネス上の決断だったと強調した。
同氏はCNNとのインタビューで、ロシアのペスコフ大統領報道官にメールを送ったことがあると認めた。建設にはロシア政府の許可が必要と聞いて接触を試みたが、返信はなかったという。
同氏によれば、トランプ氏とはこの計画をめぐり、3回にわたって短いやり取りがあった。1回目に検討が進んでいることを伝え、2回目は趣意書への署名のため、3回目は検討打ち切りを知らせるためだった。
米紙ワシントン・ポストによると、計画を持ち掛けたのはロシア出身の不動産開発業者、フェリックス・セーター氏。トランプ氏本人がモスクワへ出向けばプーチン大統領に取り次ぐことができるとも示唆したとされる。
トランプ氏は選挙期間中の発言でプーチン氏に好意的な姿勢を示していたが、この計画をどの程度把握していたかは明らかでない。

トランプの会社、大統領選中にロシアでトランプ・タワー展開を模索

米紙ワシントンポスト(WP)は27日、トランプ米大統領が選挙運動を展開していた2015年終わりから16年初め頃にかけて、同氏の事業がロシアで不動産プロジェクトを進めようとしていたと報じた。

事情に詳しい関係筋や、トランプ氏が経営していた「トランプ・オーガニゼーション」の弁護士が確認した記録などを引用して伝えた。

それによると、トランプ氏の事業はモスクワに「トランプ・タワー」を建設することで投資家と合意し、覚書に署名した。しかし、土地や認可の取得が進まず、16年1月末に建設を断念した。

トランプ氏は16年7月にツイッターで「ロシアには一切投資していない」と言明し、同国とのビジネス上のつながりを否定、翌日の記者会見でも「ロシアとは一切関係を持っていない」と述べていた。
WPによると、モスクワでのプロジェクトを巡る交渉は15年9月に本格化した。ある投資家が建設し、ライセンス契約を通じてトランプ氏の名前を付けることを計画したが、トランプ氏がどの程度関与していたか、あるいは交渉についてどの程度把握していたかは明らかでない。

計画が破棄される前、ロシア人の不動産ディベロッパーはトランプ氏にモスクワを訪れプロジェクト進展を促すよう求めるとともに、プーチン大統領がトランプ氏について「すばらしい」内容の発言をするよう仕向けることができると提案したもようだ。WPによれば、トランプ氏はモスクワを訪問しなかった。

案件の詳細はロシア疑惑を調査する議会関係者に近く提出される一連の電子メールの中に含まれているという。

[ワシントン 27日 ロイター]

トランプ氏長男メール、ロシア疑惑は長期化へ政府の捜査やメディアの追及に新たな材料

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJチーフコメンテーター

***

 ドナルド・トランプ米大統領の周辺で数カ月にわたって期待されていたのは――時に現実的で、時に望み薄だったが――昨年の大統領選におけるロシアの役割を巡る話がさっさとしぼんで消え去ることだった。

 その夢は11日についえた。

 大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が公表した驚くべきメールのやり取りによって、ロシアがトランプ氏の選挙陣営と共謀したとする説はあまりにばかげているため真面目にとるべきでない、との主張は説得力を失った。一連のメールがほかに何を示したのか、あるいは示さなかったのかは分からない。だが、はっきり示されているのは、民主党候補のヒラリー・クリントン氏に不利になるような情報をばらまくため、ロシア政府上層部の誰かが協力すると提案がなされたことだ。ジュニア氏が自身の言葉で、ぜひ協力を受けたいと述べたこともだ。しかも同氏はそのための会合を設定した。

 この結果、大統領選の操作疑惑に対する政府の捜査やメディアの追及は新たな材料を得た。疑惑は深まり、これまでのトランプ氏側の反応が一段と怪しく思えてくる。この騒ぎが間もなく収まるとの可能性は低く、もしくは完全になくなった。

内部分裂の兆し

 しかもメールの開示によって、トランプ氏周辺で内部分裂が起きているとの見方が浮上している。ジュニア氏は自らメール公表に踏み切ったとはいえ、それは公になることがはっきりした後だった。このことから、メールを誰かが流布させていたことがうかがえる。疑わしい判断の責任をジュニア氏に負わせる狙いだったのかもしれない。

 トランプ政権が直面している問題が短期では収まらず長期に及ぶことが一層はっきりした。政権は今後、大統領の日々の職務から捜査対応を切り離すためにより明確な手段を打ち出す必要がありそうだ。

 もっとも、今回のメール開示はトランプ氏周辺を揺るがせたが、政権による主張の基本路線――ロシアとの共謀は依然として神話だ――を変えるには至らなかった。大統領側近の主張によれば、ジュニア氏はロシアによる対立陣営の調査を受け入れる意向を示したのであり、クリントン氏をはじめとする民主党員のメールに対するハッキングでロシア勢と連携する姿勢を示したのではない。後者は捜査の中心にある真の火種だ。前者は後者とはかけ離れていると側近らは主張している。

 また側近らによれば、メールで設定されたロシア人弁護士との会合で実質的なことは何も生み出されず、何も手渡されていない。同弁護士もそれを裏付ける説明をしている。彼らは、今回のメール開示が生んだのは法的な問題というよりも対外的な印象の問題だと考えている。

 完全に組織化された普通の大統領選陣営では、そのような会合が持たれることは決してなかっただろう。政界周辺から怪しげな協力の申し出を受ければ警報が作動するシステムがあったはずだ。申し出は即座に拒絶されるか、スタッフの綿密な調査を受けただろう。

 だがトランプ陣営は普通の選挙陣営ではなかった。この陣営は貧弱な組織で共和党大統領候補の指名を勝ち取ったのだ。問題のメールが送信された昨年6月、指名獲得に驚いていたらしいトランプ陣営は、相変わらず小さく、完成された従来型の組織ではなかった。

 実際、トランプ陣営の中心は基本的に家族(もちろんジュニア氏を含む)とトランプ氏の忠実な支持者ら一握りのメンバーで占められていた。現代の大統領選で標準となっている法律・政治・資金調達を担当する組織はなかった。思いつきの行動も多く、その中にはジュニア氏によるものもあった。

政権は態度改める必要

 今後の問題は第一に、今回の衝撃が進行中の捜査の方向や政権の捜査対応にどのような影響を及ぼすかということだ。選挙を巡る騒動で希望が持てるのは、国民がロシア共謀疑惑に寄せる関心が「ワシントンの住民」に比べてはるかに低いことだ。もちろん、そうした状況が続くかどうかは分からない。

 次に重要な問題は、かねてそうであるように、議会共和党の姿勢が関係している。彼らはおおむねトランプ氏を支持しており、それは同氏にとって非常に重要だ。だが政策を巡る難題で共和党議員がトランプ氏に味方するかどうかは、同氏の地位や強さをどう見るかに必然的に左右される。

 今のトランプ氏に本当に必要なのは、捜査が進む間、話題を変えるような政策面の成功を収めることだ。それは何よりも、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案、税制改革、それに政府の資金調達での前進を意味する。

 これらの案件で共和党議員を味方に付けておくには、米大統領選へのロシアの関与について、これ以上のサプライズがないと彼らを納得させる必要があるだろう。そのためには政権はロシア疑惑に絡む質問への否定的な態度を改め、質問に答える際に積極性と透明度を高める必要があるだろう。

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