トランプ氏に「振り払えないしがらみ」-4年前のモスクワ2晩滞在


・2013年のモスクワ滞在時にエミン・アガラロフ氏らと親交深める
・アガラロフ氏がトランプ氏長男とロシア人弁護士との会談設定を指示

トランプ米大統領の2013年のモスクワ滞在時間は、現在騒がれる疑惑や捜査を考えると、わずか2晩と驚くほど短かった。同地の「ミス・ユニバース」大会出席のための訪問だったが、この短い週末の滞在期間に起きた出来事が約4年後の現在に跳ね返っている。昨年の大統領選でのトランプ陣営とロシアの関係が捜査される中、モスクワのこの週末でのあらゆる瞬間が大きな意味を持ち得る。

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「ミス・ユニバース機構」のオーナーでもあるトランプ氏。モスクワで開かれたミス・ユニバース・コンテストに出席した同氏は、宿泊先のモスクワ・リッツカールトンホテルの要人用特別室にコールガールを呼んで異常な性行動に及んだというのだが……    Photo:REUTERS/AFLO

トランプ氏はその週末、大会主催者アラス・アガラロフ氏の息子でポップスター、エミン・アガラロフ氏と親交を深めた。このエミン・アガラロフ氏こそ、自身のマネージャーのロブ・ゴールドストーン氏に指示し、トランプ大統領の長男トランプ・ジュニア氏とロシア人弁護士との昨年の会談をセッティングした張本人だった。トランプ・ジュニア氏は11日、ゴールドストーン氏とのメールのやりとりを公開した。ゴールドストーン氏はミス・ユニバース大会の広報も担当していた。

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2013年、モスクワで開かれたミス・ユニバース世界大会で顔をそろえたトランプ氏(中央)とアラス・アガラロフ氏(右)、その息子のエミン氏(左)。

トランプ氏は夜中過ぎまで続いたパーティーのほか、ロシアの金融エリートと会談する機会も得た。モスクワの日本食レストラン「ノブ」で10数人の企業幹部や財界首脳と会食、ミス・ユニバース大会のスポンサーだったロシア最大の銀行スベルバンクの経営トップらも同席した。

この会食をアレンジしたのは、プーチン大統領の盟友でもあるスベルバンクのヘルマン・グレフ最高経営責任者(CEO)とアラス・アガラロフ氏。この会談についてはブルームバーグが昨年12月に報じている。アラス・アガラロフ氏はロシア最大級の不動産会社クロッカス・グループの創業者。

トランプ氏の宿泊先での行動も議論を呼んでいる。アラス・アガラロフ氏によれば、トランプ氏はその週末、モスクワのリッツカールトンホテルに宿泊した。元英国秘密情報部員が作成した悪名高いトランプ「調査書」には、トランプ氏が同ホテルの要人用特別室でコールガールとらんちき騒ぎしたという未確認だが広く報じられた情報が含まれている。トランプ大統領はこの情報を否定している。

ワシントンのシンクタンク、ウッドロー・ウィルソン国際センタ ー・ケナン研究所のウィリアム・ポメランズ副所長は、13年の「モスクワでの週末は、トランプファミリーがさまざまなロシアの権益とコネクションを持つ重要な機会になったようだ」と指摘。大した意味を持たないように思われるコネクションでさえ、大統領には「振り払うことができないしがらみ」になっていると説明した。

原題:Trump’s Two Nights of Parties in Moscow Reverberate Years Later(抜粋)

 

 

トランプ氏長男とロシア人弁護士の会合にロシア人ロビイストも 元ソ連防諜軍人

 

旧ソ連軍で防諜活動に関わっていた人物が昨年6月、ドナルド・トランプ米大統領の長男とロシア人弁護士の会合に同席していたことが明らかになり、本人がその事実を米メディアに確認した。

今では米国市民となりロビイストとして活動するワシントン在住のリナート・アクメチン氏は15日、昨年6月9日にニューヨークのトランプ・タワーで行われた会合に出席していたと認めた。トランプ・ジュニア氏はこれまでロシア人弁護士、ナタリア・ベセルニツカヤ氏の出席しか公表してこなかった。

大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏(39)は、大統領選の対立候補ヒラリー・クリントン氏が不利になるロシア政府情報を提供する人物がいると紹介され、そのような情報があるなら「最高だ」と返事をした上で、ベセルニツカヤ弁護士と面会した。会合に至るメールのやりとりを、トランプ・ジュニア氏自身がツイートして公表した。

仲介した英国人の音楽広報業、ロブ・ゴールドストーン氏とのメールは、大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏(現・大統領上級顧問)と、当時のトランプ陣営選対本部長ポール・マナフォート氏にも送られており、この二人も6月の会合に参加した。トランプ陣営幹部とロシア人が実際に非公式に接触していたことが、トランプ・ジュニア氏のメール公表で初めて確認された。

トランプ・ジュニア氏は選挙関連の具体的な内容は何もなかったと主張しているが、上院司法委員会は同氏に公聴会での証言を要請した。同委員会は、複数の連邦議会委員会や連邦捜査局(FBI)と同様、昨年の大統領選にロシアが介入し、トランプ陣営と結託したのではないかという疑惑の真相を調べている。

下院のナンシー・ペロシ民主党院内総務は、トランプ一家がおそらくロシアと結託し大統領選の結果を左右しようとしていたと裏付ける、「厳然たる確固とした証拠」がすでにあると批判し、「ジャレッド・クシュナーに与えられている機密情報閲覧権限を取り上げるよう求める。そのような権限が彼に与えられているなど、まったく馬鹿げている」と述べた。

一方で、トランプ大統領は13日、訪問先のパリで記者会見し、「何も起きなかった」、「ほとんど誰でもあの面会に応じたはずだ」と息子を擁護した。

リナート・アクメチン氏とは

アクメチン氏はAP通信に対し、自分はソ連軍で防諜活動に関わっていたが、スパイの正式な訓練は受けたことがないと話した。

2015年にワシントンの連邦地裁に提出された書類によると、アクメチン氏は鉱業企業「インターナショナル・ミネラル・リソーセス」からハッキング被害で訴えられている。

裁判資料によると、同社が私立探偵を雇いアクメチン氏をロンドンまで尾行したところ、同氏は喫茶店で、同社へのサイバー攻撃を取り仕切ったと自慢していたという。同社の評判を落とす中傷キャンペーンが目的だったとされる。

アクメチン氏はこれを否認し、訴えは後に取り下げられた。

AP通信によると、ロシア大統領府のドミートリー・ペスコフ報道官は、ロシア政府はアクメチン氏について何も知らないと話している。

米紙ワシントン・ポストによると、アクメチン氏は2009年に米国市民となったが、ロシア国籍も保持している。

ロビイストとして登録しているアクメチン氏は最近では、ロシアの人権侵害を理由にロシア政府幹部の資産凍結などを決定した2012年の米マニツキー法の撤回を求めて活動してきた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は同法の成立に特に立腹したとされている。

ベセルニツカヤ弁護士も、マニツキー法撤回を求める運動の中心的人物。

なぜトランプ・タワーの会合に同席

アクメチン氏はワシントン・ポストに対して、自分はベセルニツカヤ弁護士とたまたま一緒に昼食をとっていただけで、その場の勢いでトランプ・タワーへ同行したに過ぎないと話している。たまたまそうなっただけなので、自分はジーンズとTシャツ姿だったと言う。

自分たちのほかに通訳も同席したとアクメチン氏は説明し、「正直言って、まさかこんな大ごとになるとは、思いもよらなかった」と話した。

会合をとりもったゴールドストーン氏は、ロシアのポップスター、エミン・アガラロフ氏の代理人。アガラロフ氏は2013年、モスクワでミス・ユニバース大会を開くためにトランプ氏(現大統領)と協力していた。

会合の内容は

トランプ・ジュニア氏が公表したメールのやりとりから、ゴールドストーン氏がベセルニツカヤ弁護士を「ロシア政府の弁護士」と紹介していたことが明らかになっている。さらに、クリントン氏に打撃を与える情報提供の用意が弁護士にはあり、それは「ロシアとその政府が大統領選でトランプ氏を応援する一環のものだ」とゴールドストーン氏は書いている。

しかしトランプ・ジュニア氏は、実際に会ってみると、ベセルニツカヤ弁護士は選挙に関する具体的な情報を何ももたず、それよりも(マニツキー法への報復として中止された)米国人がロシア人の子供の里親になる事業の再開について話そうとしていたと説明している。

その一方でアクメチン氏はAP通信に対して、ベセルニツカヤ弁護士はトランプ・ジュニア氏に、民主党全国委員会(DNC)におそらく違法資金が裏金として流れ込んでいる詳細情報を持っていると、持ちかけていたと話した。

「DNCが悪い金を受け取っていると暴露するのはいいかもしれない」と弁護士が口にしたのを、自分は覚えているとアクメチン氏はAP通信に話している。

アクメチン氏によると、主張の裏付けとなる証拠はあるのかトランプ・ジュニア氏が聞き返したところ、弁護士はそれはトランプ陣営が追及するといいと答えたという。

この時点で大統領の長男は興味を失った様子で、「一刻でも早く面会を打ち切りたいのが明らかだった」とアクメチン氏は話した。

(英語記事 Trump Jr meeting: Russia lobbyist confirms attendance

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